あぁ、あわら贅沢。
あわら贅沢とは?
森、風、太陽光。自然エネルギーをうまく使っている、というあわら贅沢。
2018.02.10

 

 

あわら市の丘陵地帯をクルマで走っているとかならず車窓に映るのが、風力発電の風車。これにはちゃんと愛称もあって、「あわら夢ぐるま」と呼ばれています。あわら夢ぐるまの白くて大きな羽根が日本海からの海風にゆっくりゆっくりと回っている景色は、その周辺の緑豊かな小高い丘の稜線と相まって、あわららしい、心癒される風物です。この10基のあわら夢ぐるまによる発電量は1年間でおよそ3840万キロワット。これは、あわら市の全世帯(約10000世帯)の年間の消費電力量に相当します。削減されるCO2も年間16000トン。あわら夢ぐるまは、地域と地球にやさしい発電施設といえます。

 

 

また、あわら夢ぐるまには面白い伝説もあって、それは「夢ぐるまが10本ぜんぶ見渡せる場所に意中の人と行けば、恋愛が成就する」というもの。そのエピソードの詳細はこちらの

短編ムービー:https://www.youtube.com/watch?v=-ny4k9B6qsA

をご覧いただくとして、10本ぜんぶが見られる「聖地」を探してぶらぶらしてみるのもあわら観光の隠れた楽しみのひとつかもしれません。

 

さて、あわら市では風力発電のほかにもソーラー発電など自然エネルギーを活用した取り組みが活発なのですが、今回はそのなかでももっともあわら市らしい「木質バイオマスの取り組み」をご紹介します。この事業の主体となっているのは民間の「もりもりバイオマス株式会社」で、あわら市舟津が本社所在地です。木質…?バイオマス…?耳慣れない言葉かもしれませんが、森林資源が多い日本にとって、とても明るい未来の可能性を秘めたビジネスモデルが、あわら市で進められているんです。

 

この取り組みを簡単に説明しますと、「山で不要になった間伐材の未利用材を木質チップという燃料に加工して、地元の温泉旅館などに設置されたボイラやストーブで熱エネルギーに変えて使ってもらう」というシステム。ボイラから発生したCO2は山の樹木に吸収されてふたたび木が育つ、まさに『エネルギーの地産地消』を実現した取り組みなのです。ちなみにバイオマスとは、「化石資源を除いた生物由来資源の量」を意味する言葉で、エネルギー自給率がわずか6%しかなく、その多くを海外からの化石資源に依存している日本において、近年たいへん注目されているのがバイオマスエネルギーです。

 

 

この『エネルギーの地産地消』の大切さと可能性に共感したあわら市内にあるいくつかの温泉旅館がもりもりバイオマス株式会社の木質ボイラを導入して、それまで重油など海外からの化石燃料でまかなっていた給湯や暖房のエネルギーを、地元産の未利用材木質チップに変えて使っています。このもりもりバイオマス株式会社による地域熱供給事業は、民間事業者としては日本初の事業でもあり、「地域と地球にやさしいあわら温泉」としてほかの温泉地とのブランドイメージの差別化にもつながります。実際、このことを知った観光客から「いいことしてる温泉だね」といった声を旅館の従業員さんがかけられることもあるそうです。豊かな山や森に囲まれた温泉地ならではの、ほっこりあたたかい気持ちになれるエネルギーのしくみ、と言えそうです。あぁ、あわら贅沢。

 

◎もりもりバイオマス株式会社の事業紹介ムービー

https://www.youtube.com/watch?time_continue=6&v=nCkajXa2Nlw

 

もりもりバイオマスがひとつの会社となり、事業としてスタートするまでに大きな役割を果たされたのが、株式会社マルツ電波と坂井森林組合です。まず、マルツ電波の清水さん(写真右)と大城さん(写真左)にお話をうかがいました。

 

 

―――そもそものきっかけはマルツ電波さんだったとお聞きしました。どういう経緯で木質バイオマスの取り組みをスタートされたのでしょうか?

 

清水さん:昭和22年、電球の行商からマルツ電波はスタートしました。その後、電気部品や家電製品の小売店業をはじめ、昭和42年には電気通信工事事業をスタートさせました。平成に入ると、携帯電話販売業やリユース品販売業もスタートさせて、現在に至っています。時代の流れに合わせて形を変えながら地域社会に貢献してまいりましたので、地方自治体さんとのつながりも深く、20年ほど前から地域と協力したソーラー発電事業なども営んでまいりました。そんな流れのなかさらなる再エネ事業の領域拡大を模索していた平成25年、外部アドバイザーのおひとりから木質バイオマス事業をおすすめいただきました。この分野での先進地であるオーストリア視察なども経て、同年、林野庁に企画書を提出してまずは3年間の実証実験をやることが決まりました。

 

―――3年間の実証実験を経てもりもりバイオマス株式会社を設立されたわけですが、そこに至るまでにはどんなご苦労がありましたか?

 

大城さん:なにしろ民間としては日本初の取り組みでしたので、苦労は数え切れないほどありましたが(笑)。でも、タッグを組ませていただいた坂井森林組合さんが非常にチャレンジングなみなさんで、木質チップづくりにも以前からの知見があり、苦労もいっしょに乗り越えてゆけました。また、地域に温泉旅館という大きな熱需要があり、グランディア芳泉や美松のみなさんにも事業の意義を理解していただき導入に積極的だったことも有難かったですね。観光マーケティング的に見ても、「地産地消のエネルギーを使っている温泉地」という優位性が生まれたのではないでしょうか。「どこから来たエネルギーかがわかる」と、気分よく入浴できますもんね。

 

清水さんと大城さんは、マルツ電波の社員でありながらもりもりバイオマス株式会社の取締役もされており、引き続き木質バイオマスの取り組みを進めておられます。次に、大城さんに「チャレンジングだった」と言わしめた坂井森林組合の西川参事にお話をうかがいました。インタビューした日はあいにくの冷たい雨でしたが、暖かい組合事務所で、この取り組みに賭ける西川参事の熱いお話を聞くことができました。

 

 

 

―――坂井森林組合さんは、どんな想いでこのもりもりバイオマスの取り組みに参画されたのでしょうか?

 

西川さん:ひとことで言えば「地域の人に山へ目を向けてほしい」ということです。もりもりバイオマスによるエネルギーの地産地消が成功すれば、「山も捨てたもんじゃないなぁ」と地域の人に感じてもらえる。そう思いました。山の森林整備には大きな税金が投入されてもいるんです。また、今の山があるのはわれわれの祖先がしっかり山を整えてくれていたからとも言える。にもかかわらず今の人はあまりにも山や森と無関係・無関心です。もちろん、山から出た不要材を使い切りたい、付加価値をつけて活用したい、という想いもありましたが、なによりも、この取り組みを通じてみんなに「山を見てほしい」「見直してほしい」という想いが強かったですね。

 

―――どんなご苦労がありましたか?

 

西川さん:新しい挑戦だっただけに、不安はいっぱいありました。私たちも、受け入れ側である温泉旅館さんにも不安があったと思います。ちゃんとした木質チップを安定的にほんとうに供給できるのか、とかね。そのひとつひとつをお互いに理解しあっていった感じですね。幸い、チップ製造については昔からの経験があったので、そこは納得していただけました。

 

 

―――最後に。西川参事から見て、「あわら贅沢」とは何でしょうか?

 

西川さん:あわらは、新しいことができる可能性があるまち、だと感じます。コンパクトシティだからというのもあるし、新幹線駅もできるし、温泉もあるし。あわららしさを一から見直して、まちが「開いて」いけば、もっともっと可能性が広がると思います。もりもりバイオマスも、その可能性のひとつです。

 

 

 

あぁ、あわら贅沢。