あぁ、あわら贅沢。
あわら贅沢とは?
【あわら贅沢な人】 おにぎりアクションの大宮千絵さん
2018.05.30


写真©️川島一郎

 

みなさんは『おにぎりアクション』をご存知でしょうか?

あなたがおにぎりを食べると、世界の子どもたちに給食がとどく。

そんな、おにぎりのようにシンプルな、

でも、とても温かくておいしい「しくみ」がおにぎりアクションです。

この取り組みをもう少しだけ詳しく説明すると、

おにぎりにまつわる写真をハッシュタグ「#OnigiriActoin」を付けてインスタグラムなどのSNSまたは特設サイトに投稿するだけで、5食分の給食が世界の貧しい子どもたちに届けられます。給食の費用は、この取り組みに賛同している企業や自治体からの寄付によってまかなわれています。

ね、やっぱりシンプルでしょ?

 

 

この素敵なアイデアを考えられたのが、あわら市出身の大宮千絵さん。東京にある認定NPO法人テーブル・フォー・ツー(以下TFT)で働いておられます。プライベートでは2児のお母さん。まさに、おにぎりをお子様たちに毎日にぎっていらっしゃる現役ママさんでもあります。

 

―――どんな経緯で、世界の貧しい子どもたちに給食をとどけるNPOに就職されたのですか?

大宮:TFTは2007年の創設なんですが、私は2015年からメンバーに加わりました。それまでは日産自動車で8年間マーケティングの仕事をやっていて、おもにリサーチをしていました。日産の製品や広告が、消費者に「どれくらい受け入れられているか」「どうすれば好きなってもらえるか」を調査したり考えたりする日々でした。そんな仕事のかたわら、2009年にTFTのボランティアに参加して商品企画をやらせてもらったんです。「食」にまつわるNPOなんでお弁当箱をつくるプロジェクトだったんですが、マーケッターの立場でかかわって、実際に「寄付付きお弁当箱」を商品として渋谷のロフトで販売することができました。NPOでも企業と連携して商品やサービスが生み出すことができる、ということを実体験でき、その面白さに感動しました。社会貢献をビジネス視点でおこなっているTFTにも、すごく共感していたんです。

―――じゃあ、そこからすぐにTFTに?

大宮:いえ、日産でのお仕事も面白かったし、やりがいもあったので。ただ、2014年から1年半、育児休暇をもらったんです。そのときに、子どもを育てながらあらためて「自分は何のために、誰のために、働くべきか?」を考えまして、昔から持っていた「自分ではどうすることもできない困っている人のために働きたい」という想いに背中を押されるかたちで、日産には復職せず、思いきってTFTに転職しました。

 

 

―――「困っている人のために」という想いは、何かきっかけがあったのでしょうか?

大宮:実は、中学校から高校に進学する時期にアトピー性皮膚炎がひどくなって。本当に人前に出られないくらい。その時期はつらくてつらくて、3カ月間でしたが「一生治らないかもしれない…」って、すごく不安で。病院へ行っても治らずどんどんひどくなって、健康な皮膚がまったくない状態で顔つきも変わってしまって、他の人からも「どうしたの?」って聞いてもらえないくらい見るからに深刻な状態で。

―――とくに年頃の女の子にとっては、つらい経験ですね…。

大宮:無理して学校にも通ってたんですが。見ている親もつらかったと思います。最終的には、近所の人に教えていただいた病院に2週間入院して、ようやく治りました。

―――そんな経験から「困ってる人のため」に?

大宮:そうですね。それまでは何不自由ない生活で、なんでも努力すれば実る、「為せば成る」と思っていました。でも、病気がきっかけで、「世の中にはこんなに困ってる人がいるんだな。自分の力ではどうにもならない人がいるんだ」と痛切に感じました。だから、これが治ったら「そんな人たちの力になりたい」と思ったんです。

 

大宮さんは、岩手県で生まれ、4歳でお父様のふるさとであるあわら市に引っ越され、高校卒業までずっとあわら市に住んでおられました。子どもの時の印象的な思い出は、「かるた」と「お祭り」。地域のかるたクラブに所属して、放課後は百人一首に熱中していたそうです。まさに、“ちはやふる”の世界ですね。小学6年生の時には県大会から、滋賀県の近江神宮で開催される全国大会へ。「がんばると世界は広がっていくんだ!」ということを、かるたを通じて学んだそうです。

 

 

―――地域のお祭りにも、積極的に参加されてたんですね。

大宮:お祭りのこと、よく覚えていて。たけくらべまつりや金津祭。みんなで浴衣を着て。地区で順番がまわってくると、大きな山車をつくって。みんなで踊りを覚えて。

―――地域の人と人とのつながりが濃かった?

大宮:はい。大きな山車を引っ張るとなると地域のみんなで力を合わせないといけませんし、踊りもみんなで集まって大人の人から教えてもらって一生懸命に練習して。「上手だね」って褒めてくれる近所のお姉さんがいたり。都会だと希薄になりがちな、地域の濃いつながりがあって、人情が温かかったですね。自分の子どもたちにも味あわせてあげたいんですが、都会では、なかなか。

 

 

―――そんな子ども時代の思い出のなかに、おにぎりも登場しますか?

大宮:はい。母がお弁当に詰めてくれたおにぎりを、家族や友達といっしょに食べた楽しい思い出が甦ってきますね。おにぎりアクションをひらめいたのも、そんな原体験があったからかもしれません。おにぎりはシンプルで、かつ、誰もが物語を持っている食べ物。そこに、アフリカなど世界の子どもたちの姿を投影して、共感して、アクションに参加してもらえるのでは、と考えました。マーケティング的に言うと「メッセージはシンプルなほど伝わる」んですが、おにぎりはこれ以上ないほどシンプルでメッセージ性が強いモチーフ。協賛してくださる企業の皆さまも、ふだんはちょっとお堅い人たちなんですが(笑)、おにぎりの思い出話をしている時は「ふっ」と表情がゆるむんですよ。それを見た時、このおにぎりというアイデアは「いける!」と確信しました。実際、立ち上げから3年目の2017年度には世界中から16万枚もの写真投稿があり、97万食もの給食を子どもたちに届けることができました。昨年度からあわら市さんにも協賛していただきました。行政としては初めてのご参加で、多数のメディアでも記事にしてもらえたようです。新しいことに臆せず挑戦するあわら市さんの心意気に、出身者として、とても誇らしい気持ちになりました。

 

 

―――あわら市は『あわらむすびプロジェクト』を実施して、おにぎりアクションとも連携しています。

大宮:ありがとうございます。私も帰省した時に食べに行って、「あ、こんな具材を使うんだ!」って驚いてます。私が思う「あわら贅沢」は、やっぱり「食」ですね。日本海の新鮮なお魚はもちろん都会では味わえませんし、とみつ金時なんかも、バーベキューをすると東京の友達はみんなその甘さに驚いて、「欲しい!欲しい!」となります。あわら市の食材をおにぎりに込めてPRできれば、すごくいいなぁと思いますね。あわらむすび、個人的に期待してます。

―――オトナになってから感じた、あわらのイメージってありますか?

大宮:新幹線が来るからかもしれませんが、積極的に新しい取り組みをされてるのがすごいと思いました。ちはやふるや、あわらむすびや、パナソニックさんとの宅配ボックスなどなど。おにぎりアクションも、「まさか、あわら市さんが(行政として)最初に参加してくれるとは」と正直びっくりでした。

―――あわら市が「こうなったらいいな」ということは何でしょうか?

大宮:もっと県外の人、海外の人に来てほしいな。まだまだ、良さが伝え切れてない部分がある気がします。いい要素はいっぱいあると思うし、ゆくゆく、あわら市に住みたいなという気持ちにつながるような「あわら贅沢」を発見・発信できるといいですね。

 

 

 

あぁ、あわら贅沢。