あぁ、あわら贅沢。
あわら贅沢とは?
移住してきた人が充実した暮らしを楽しんでる、というあわら贅沢。
2017.07.25

あわら市には、市外から移り住んで来た人たちもたくさん暮らしています。

よその市町から移住してきた人は、あわら市のことを

どのように感じているのでしょうか?

兵庫県丹波市出身の田嶋恵子さんも、あわら市に移住した一人。

結婚を機にあわら市民となり、現在は「田嶋牧場」を運営、

搾りたての牛乳を使った独自の商品開発にも従事しています。

“移住者”という目線から見たあわら市の魅力とはどこにあるのか、

お話を伺ってみました。

 

 

●どこまでも広がる丘陵地の風景に感動

 

――― 「あわら市に住みたい」と思ったきっかけを教えてください。

 初めてあわら市を訪れたのは、昭和49年、私が25歳のときです。高校生の妹が牧場に憧れて「北海道に行ってみたい」と言ったのですが、北海道は遠すぎるので、地元から行けるエリアで探してみたところ、あわら市(旧芦原町)に牧場があることがわかり、ここなら女2人で気軽に行けるかなと思い、電車とバスを乗り継いで訪れました。

 あわらの第一印象は、「なんてきれいな風景なんだろう!」という驚きです。私の故郷・丹波市は盆地なので、どこまでも広がる丘陵地の風景はそれまで見たことがなく、感動的でした。当時、「兼高かおるの世界の旅」というテレビの紀行番組が好きだったのですが、海の向こうまで行かなくても、こんなに素敵な風景があるんだと感激しました。地平線に沈んでいく夕陽を見るのも初めての体験でしたね。

 牧場も初めてでしたが、牛の瞳が可愛くて大好きになりました。妹は期待が大きすぎたのか1回で飽きてしまいましたが、私はそれ以降、あわら市が気に入って、何度か田嶋牧場に遊びに行くうちに、「お嫁に来ないか」という話になって、移り住むことになりました。ですので、主人に惚れ込んで、というよりは、あわらの風景や牧場の雰囲気を好きになって、ここで暮らしてみたい、と思ったのがきっかけだったんです。

田嶋さんが運営する田嶋牧場。結婚当初は30頭だったホルスタインが今は50頭へと拡大。

 

●とれたての野菜や果物がふんだんにある暮らし

 

――― 実際にあわら市で生活してみて、暮らしやすさはいかがですか?

 昭和50年10月に結婚して、あわら市の住民になりました。生活し始めて感じたのは、食材の豊かさですね。嫁ぎ先が牧場運営と農産物の生産をしていたというのもありますが、搾りたての牛乳やとれたての野菜や果物をいつでもふんだんに味わえるというのは、なによりの贅沢ですね。

 たとえば、義父はよく農作業の途中で「ちょっと休憩するか」といって、畑の真ん中でとれたてのスイカをパーンと割って、真ん中のおいしいところだけを食べていました。はじめはびっくりしましたが、スイカもメロンもいくらでもとれるから、このあたりでは、そういう食べ方は珍しいことではないんですよ。農作物を作っているおうちが多いから、実りすぎた野菜や果物をご近所で分け合うことも多いですね。うちの子どもたちは野菜や果物が買わなくても家にあることを普通だと思っていますから、そういう意味では贅沢な環境で育っていますね。

 北陸なので雪が多いかなと思っていましたが、北陸の中では気候も温暖ですし、雪も少ないから暮らしやすいと感じています。

 

●働く女性が多く、子どもの教育環境も整っている

 

――― あわら市独特の地域性を感じたことはありますか?

結婚しても働いている女性が多いですね。私の故郷では結婚すると専業主婦になる人が多かったので、その点では地域性の違いを感じました。私もあわら市に来た当初は勤めに出ていましたが、どうせ仕事をするなら「何かを作り出す仕事がしたい」と思って、家業である田嶋牧場で主人や両親とともに働くようになりました。

 実は来た当初は、地域の輪の中になかなか馴染めなかったんですが、昭和52年頃にあわら・坂井エリアの女性農業者で結成した「スカンポグループ」を通じていろいろな人と交流する機会が増え、そこからお友達も増えました。スカンポっていうのは植物の名前で、踏まれても立ち上がってくる強さが特徴なんです。その名の通り、「スカンポ」の女性たちは、酪農、畜産、水稲、果樹、花卉などいろんな農業に携わって、たくましく活躍されている方が多いんです。そんな皆さんたちと情報交換したり、海外旅行に行ったりして、日々の楽しみが広がりました。

 あと、あわら市で子育てをして感じたのは、教育面の充実です。福井県自体が教育水準が高いと言われていますが、あわら市も熱心な先生方が多く、公立の学校でしっかり指導してくれますので、子育てをするにはいい環境が整っていると感じています。

 

●新しいことにチャレンジしやすい気風がある

 

――― 暮らしの中で、充実感を感じるのはどのようなときですか?

 私は農業は創作業だと思っていて、先代からの仕事を受け継ぐだけでなく、自分で工夫してできることをやってみたいと思っていました。それで始めたのが、搾りたての牛乳を使ったソフトクリームの製造と販売です。今でいう六次化ですね。始めたのは平成15年、私は54歳でしたけど、農業大学に進んだ息子も「やりたいならやってみれば」と背中を押してくれました。当時はまだ新鮮な牛乳で作ったソフトクリームを作っているところは少なく、業務用の粉末でつくるものが大半でした。だから、ソフトクリームを作っている同業の牧場を訪ねてアドバイスをもらうなど試行錯誤を重ねながら、自分が食べておいしいと思える味を研究しました。おかげさまで今年でソフトクリームの販売を始めて15年、ミルクの風味がしっかり感じられ、後味さっぱりでおいしいとお客様からもご好評をいただいています。トッピングのソースも工夫し、あわら産トマトやにんじん、さつまいものシロップを使ったり、他の農家さんとのコラボなど、新しい取り組みも行っています

 お店を出していると、いろんな人との出会いが広がるのもうれしいですね。あわら市では、独自の商品づくりを工夫している農家さんも多いので、新しいことにチャレンジしやすい気風があるのかもしれません。

田嶋牧場のすぐ近くで営業しているソフトクリーム店。今やあわら市の人気スポットに。

 

●地域と積極的に交流して、楽しさを広げて

 

――― これからあわら市への移住を考えている方へのアドバイスをお願いします。

これはどこで暮らしても言えることかもしれませんが、その土地で暮らすからには、地域の人とつながってこそ楽しみが広がります。あわら市は働いている女性も多く、交流できる場もいろいろあるので、積極的に関わってほしいですね。私が結婚した当初は、よそから嫁いで来る人は珍しかったですが、今は交通の便も良くなり、他から移り住んで来る人は珍しくありませんし、皆さん交流の機会をもって、スムーズに地域に溶け込んでいます。

 交通の便でいうと、国道8号線や北陸自動車道が通っているし、電車もJRとえちぜん鉄道があって、どこに行くにも便利です。あわら市を拠点にいろいろな活動も行いやすいんじゃないでしょうか。私も仕事の関係で県外に出かけることもありますが、帰ってきてあわらの風景を見ると、ほっとします。そんな心地よさが、あわらという風土にはあると感じています。

 

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終始、明るい笑顔でお話しいただいた田嶋さん。その生き生きした表情からも、移住して40年以上、あわら市で実り多い人生を満喫されていることが伝わるインタビューでした。

 

 

 

あぁ、あわら贅沢。