あぁ、あわら贅沢。
あわら贅沢とは?
日本代表や世界一も夢じゃないカヌーの聖地、というあわら贅沢。
2017年8月28日

じつは、あわら市北部に広がる北潟湖ではカヌーが盛んなのです。

あわら市出身でカヌースプリントの選手として活動する後藤悠介選手(36)は、

小学3年生のときに北潟湖でカヌーに出会い、以後、カヌー競技者として活動。

2016年には「ICFカヌースプリントマスターズ世界選手権」へ出場を果たし、

金メダル獲得という快挙を成し遂げました。

現在もあわら市を活動の拠点としている後藤選手、

その活動の軌跡をたどり、あわらのカヌーの魅力に迫ります。

 

後藤選手

 

●カヌーポロから、やがてカヌースプリントへ

――― 後藤さんがカヌーを始めたきっかけを教えてください。

 小学3年生のときに、カヌーポロを体験して、いっぺんで夢中になりました。当時、旧芦原町ではカヌーポロを町技として町ぐるみでカヌーに力を入れていたんです。町役場にもカヌー競技の経験者がいて、私たち小学生にも積極的に指導してくれました。カヌーポロは、5人で1チームとなり、相手のゴールにシュートを決める競技。泳げなくてもカヌーに乗れば水上を思い通りに動き回れるのが楽しくて、他のスポーツにはない魅力を感じました。湖で競技するという非日常性も新鮮でしたね。一口にカヌーといっても競技スタイルはさまざまで、高校に入ってからはカヌーポロからスプリントに転向しました。きっかけは、カヌーの指導をしてくれた恩師から「強くなりたかったら、スプリントでスピードを強化しろ」と言われたこと。スプリントは200メートル、500メートル、1000メートルのコースをいかに早く漕ぐかタイムを競う競技です。やりはじめたら、スピード感のあるスプリントにはまり、以後、スプリントを専門に競技しています。

 

後藤選手 幼少期

 

●オリンピック出場への挑戦、そして、海外の大会参戦へ

――― カヌー競技者としてどのようにキャリアを磨いてきたのでしょう?

 高校は石川県小松市にあるカヌースプリントの強豪校に進学し、卒業後は関東の大学に入学しました。ですが、大学は自分が期待していた練習環境とは違ったため、あわらに戻り、福井工業大学(福井工大)に入学し直しました。福井工大のカヌー部は北潟湖を練習拠点にしており、実力ある選手も多く、競い合いながら練習に励める仲間たちにも恵まれた。自分にとってはベストな環境だったと思います。在学中には全日本選手権で優勝も果たし、カヌー競技者として自信をつけることができました。

 卒業後は、カヌー競技を続けることに理解のある石川県の会社に3年間所属。当時の目標は、2008年の北京オリンピック出場でしたが、オリンピックの正式種目は500mと1000m。私は200メートルを専門としていたこともあり、選考には残れませんでした。

 

後藤選手 社会人

 

――― 世界大会にも積極的に挑戦していますよね?

 目標を失って一度は引退したんですが、2012年のロンドンオリンピックではカヌースプリント200mが正式種目となると聞いて、「もう一度挑戦したい!」と意欲が再燃。2年間のブランクを経て、2010年に復帰。トレーニングを重ねて、2011年の国体で優勝を勝ち取ることができました。残念ながらロンドンオリンピックの日本代表には残れませんでしたが、競技者としての手応えを感じ、以後、海外の大会で結果を残すことを目標に定めました。カヌースプリントは、日本ではまだまだマイナーな競技なので、エントリーや海外への渡航手続きもすべて自分でやらなければなりません。大変ですけれども、挑戦し続けた結果、2016年の 「ICFカヌースプリントマスターズ世界選手権」では金メダルを、2017年の「ワールドマスターズゲームスオークランド大会」では第2位を獲得することができました。

 現在は、2021年に開催される生涯スポーツの国際総合競技大会「関西ワールドマスターズ」で優勝することを目標にトレーニングを重ねています。

 

後藤選手 メダル

 

●子どもたちがカヌーに親しめる環境づくりを

――― 現在はあわら市で、どのような活動をされていますか?

 あわら市でカヌーを楽しめる環境を作っていきたいと考えています。毎年夏に開催されているあわらカヌーフェスティバルもその一つ。同フェスティバルは、福井市のオールコネクトという会社がスポンサーとなって開催されているカヌーの競技大会。オールコネクトの代表取締役は福井工大で同じカヌー部にいたチームメイトで、カヌーで地域を盛り上げたいとスポンサーに名乗りを上げてくれました。

 同フェスティバルは2種類の競技を開催しています。一つは100mのスプリントコースで競い合う「スプリント大会~オルコネカップ~」。もう一つは、みんなの力をつなぎあい、全長14.0キロ(6.0キロ)のロングコースを漕ぎ切る「駅伝大会」。いずれも。子どもたちから世界大会の実力者まで多数が参加します。オルコネカップに出場した子どもたちは口々に「面白かった!」「また漕ぎたい」と言ってくれていて、手応えを感じています。

 あわらにはカヌースポーツ少年団もあり、あわら市カヌー協会もカヌー体験教室を行うなど、子どもの頃からカヌーに親しめる環境が整っており、私も子どもたちの指導に当たっています。北潟湖でカヌーを始めた子どもの中から、世界をめざす人材が出てきたら嬉しいですね。世界に出ていってもずっとカヌーを続けてくれていれば、いつかまた北潟湖に戻って来てくれると思います。

 

後藤選手 世界

 

●素晴らしい風景の中でカヌー競技ができる

――― 北潟湖でカヌーをする魅力は何ですか?

 北潟湖は交通の便もいいし、温泉も近い、宿泊施設も充実しています。それに何より風景が素晴らしいですよね。風車やシンボルのアイリスブリッジも印象的です。山々の風景をバックにカヌー競技ができる湖畔は海外にはありませんから、今後、競技場として売り込める要素は充分にあると思います。

 たとえば、関西ワールドマスターズは、参加選手が35歳以上ということもあり、家族ぐるみで多くの人たちが来場するので交流人口も多く、オリンピック同様経済効果も非常に高いんです。同じように北潟湖もカヌー競技場として認知度があがれば、あわら市の活性化につながりますし、地域の魅力も伝えていけるんじゃないでしょうか。福井では2018年に福井国体が控えていますし、カヌー競技を通じて北潟湖やあわらの良さをもっともっと知ってもらえたらと思っています。

 

後藤選手 インタビュー

カヌーとあわら市への想いを熱く語っていただいた後藤さん。ありがとうございました!

あぁ、あわら贅沢。