●福井県だからこそできた公民連携のプロジェクト
「福井県はハッピーな県」とよく言われます。事実、2016年度版都道府県別幸福度ランキングでみごと三度目の日本一に輝きました。このランキングは日本総研が毎年実施しているもので、健康、文化、仕事、生活、教育など65もの指標をもとに算出されていますから、かなり信頼のおけるランキングです。思い浮かべてみてください。あなたが知ってる福井県のひとは、なんだかいつも幸せそうじゃないですか?
さて、そんな福井県にはもうひとつ興味深い「日本一」があります。それが、「共働き率」の日本一。こちらは2010年度の国勢調査によってあきらかになったデータで、夫婦で営まれている世帯において夫婦がともに就業者の世帯の割合を算出したもの。福井県はなんと58.6%で堂々の日本一なのです。またまた思い浮かべてみてください。福井県民のご夫婦は、なんだかみんなイキイキと共働きでがんばってませんか?
この共働き日本一には理由がいくつかありまして、ひとつは歴史的な側面。明治期から繊維工業が盛んだったため福井県の女性は働き口にこまらず、逆に、専業主婦をしていると「なんで働かないの?」と言われるほど勤勉な県民性が育まれたのです。もうひとつは、昔から三世代同居が多いという生活文化的な側面。持ち家率も高く、家族が三世代でサザエさん的に暮らしているので、旦那さんや親世代が働く奥さんをちゃんとフォローする習慣があります。例えば、家事や育児を家族みんなで分担するとか。
なんだか福井のお国自慢みたいになってしまいましたが、この「共働き世帯が多い」という状況はあわら市も同じで、じつはここからが本題なんですが、あわら市では少し前から『働く世帯応援プロジェクト』という施策もおこなっていて、まちぐるみで、働く夫婦世帯のバックアップをしてより暮らしやすいまちづくりを進めているんです。あるあわら市在住の奥さんは、「こども園など育児サービスが充実してるから外で働きやすい」とおっしゃってました。
●あわら市とパナソニックの夢のコラボが実現した夏
2016年、夏。あわら市役所のなかにある政策課の電話が鳴りました。「あわら市が進めている働く世帯応援プロジェクトと、ぜひ、コラボしたいのですが」。電話の主は、大阪府門真市にあるパナソニック株式会社エコソリューションズ社のKさん。販売している戸建て用宅配ボックスという商品の利便性をモニター調査させてもらえる自治体を探しており、「家が留守でも宅配便が受け取れる」という商品なので、昼間に不在がちな共働き世帯が多いまちがいい!あ、福井県のなかでも働く世帯を積極的に応援しているあわら市がぴったり!温泉もあるし行ってみたいw!とひらめいて、勇気を出して連絡をしてきたのです。
勇気を出して、というのは大袈裟ではなく、あわら市の前にもいくつかの自治体に問い合わせたようなのですが、なかなか、どのまちも特定企業との公民連携はハードルが高く実現が難しかったという苦い経験があり、今回も内心ドキドキだったらしいのですが、そこはさまざまな企業等とのコラボ実績の経験が多いあわら市、すぐさま市長に報告して「市民のために是非やってみよう!」となったのです。
タイトルは『共働き日本一の福井県で「宅配便の再配達がない」まちをつくろう』。あわら市内の共働き106世帯に宅配ボックスを無償で設置して、暮らしがどんなふうに変わるかを実証実験しました。それでは詳しい内容を、動画でご覧ください。
●これからも、働く世帯を積極的に応援していきます!
多くの市民参加と、日本郵便やヤマト運輸の協力によって、この実証実験プロジェクトは大成功。数多くのテレビ番組でもあわら市は「宅配ボックスのまち」「共働き応援のまち」として報道され、一躍有名になりました。それまで49%もあった宅配便の再配達が8%にまで激減して、宅配ボックスを設置した市民の98%が「受け取りのストレスがなくなった」「暮らしやすくなった」「時間を気にせず働けるようになった」といった満足感を得られたようです。
あわら市ではこの活動を継続させてさらに多くの働く世帯を応援していくために、2017年度、新たに宅配ボックス購入の補助金を予算化しました。公民連携によって暮らしをよくする、という、あわら贅沢。これからもあわら市は積極的に活動していきます。