あぁ、あわら贅沢。
あわら贅沢とは?
74もの源泉!湯めぐり文化が息づく温泉街、というあわら贅沢。
2017年4月5日

130年以上の歴史を持つあわら温泉は、北陸を代表する温泉街です。
その魅力はなんといっても豊富な源泉数。源泉が74本もあり、
湯宿ごとに泉質や湯温、効能が異なるという全国でも珍しい温泉街なんです。
そんなあわらには温泉街をぶらりと回りながらいろんな泉質を楽しむ
“湯めぐり文化”が根付いています。
豊かな源泉に恵まれた温泉街ならではの“あわら贅沢”、
その魅力をご紹介しましょう。

街中温泉

 

●田園の中に湧き出た70本以上の源泉

あわら温泉が発見されたのは、明治16年。当時のあわらは一帯が田園で、地元の農民が農業用の井戸を掘ったところ、塩分を含んだお湯が湧き出たのが始まりです。田んぼの真ん中に湧き出たお湯はたちまち評判となり、いくつもの温泉宿が建ち並ぶようになりました。しかし、各集落が競って試掘・乱掘をしたため、温泉の枯渇を危惧した県は明治19年に周辺地区に当分の間、新規掘削を禁止するよう通達。これにより、あわら温泉の源泉数は76本(当時)を限度とし、現在は74本の源泉を持つ温泉地となっています。

ボーリング風景

大正8年のボーリング風景。湯元から次々にお湯が湧き出ました。

ちなみに田んぼの真ん中で誕生したというのも、あわら温泉の特色です。周りに何もない田んぼだけの平坦な風景では他の温泉地と勝負できないと考えた各湯宿は、競って庭園に趣向を凝らすようになり、その美しさは近隣の温泉地でも随一と言われています。ゆったりとお湯につかりながら眺める庭園美も、あわら温泉の魅力と言えるでしょう。 

露天風呂

庭園を眺められる露天風呂。なんとも贅沢な気分に浸れます。

 

●各施設が源泉を管理。だから、いろんなお湯が楽しめる

74本の源泉は、それぞれ泉質や湯の温度が微妙に異なります。あわら温泉では湯の共同管理を行っておらず、各温泉施設が源泉を管理しています。そのため、温泉施設によって使用している源泉が異なり、違ったお湯を楽しむことができるのです。
あわら温泉の代表的な泉質は次の通りです。

・ナトリウム塩化物泉 

海水に似た成分を含み、皮膚に付着した塩分が汗の蒸発を防ぐため保温効果に優れ、湯冷めしにくいのが特徴です。一般的に、冷え性、関節痛、神経痛などに効能があると言われています。

・ナトリウム・カルシウム塩化物泉 

塩化ナトリウムのほかにカルシウムを含んでいます。一般的に、婦人病、関節痛、皮膚病などの効能があると言われています。

・アルカリ性単純温泉

肌触りが柔らかく、肌への刺激が少ない泉質です。入浴すると肌がすべすべする“美肌の湯”でもあります。一般的に、神経痛、筋肉痛、打ち身・捻挫などに効能があると言われています。

そのほか、温泉に含まれる成分や温度、効能などはさまざま。なかには飲用できる温泉もあります。温泉施設によっては数本の源泉をもっているところもあり、異なる泉質をミックスしているところも。各温泉施設には泉質や成分表が掲示されているので、どんなお湯なのかチェックするのも一興です。

 


●あわら温泉のルーツを再現した「芦湯(あしゆ)」

芦湯 


2本の源泉を使った5種類の足湯が楽しめる「芦湯」

 住 所:あわら温泉湯のまち広場(あわら市温泉1丁目203)
 利用時間:7時〜23時
 休館日    :年中無休
 料 金:無料
 問合せ先:あわら市観光協会(0776-78-6767)

 

2014年4月、あわら温泉湯のまち広場にオープンした足湯も人気です。その名もずばり「芦湯(あしゆ)」。5つの浴槽に2本の源泉からお湯を引いており、壱の湯はややぬるめの源泉、弐の湯は熱めの源泉、参の湯では2本の源泉をミックスしたやや熱めのお湯を楽しめます。

同じく源泉をミックスした「円満の湯」は、楕円形の大きなテーブルを囲む掘りごたつのような足湯。おしゃべりを楽しむ女性グループをはじめ、ときには学校帰りに勉強する学生やパソコンで仕事をするビジネスマンの姿も見られます。

同じく源泉をミックスした「舟の湯」は、あわら温泉が発見された当初、人気だったという「舟湯」を再現しています。田んぼの用水路で使う端舟(田舟)を浴槽にしたもので、あわら温泉のルーツとも言えるスタイルです。

建物は伝統的な意匠を取り入れた数寄屋造り。浴槽には福井県産の笏谷石が使われており、濡れると青みがかった美しい色合いを見せます。
「芦湯」の周辺には、焼き鳥やラーメン、おでんなどの屋台が軒を連ねる湯けむり横町もあり、温泉のあとの軽い食事を楽しむ人たちで賑わいます。

 

湯けむり横丁
芦湯のすぐ近くにある湯けむり横町は、
いろんなジャンルの飲食店10店舗が営業(2017年3月現在)

●地元の暮らしに密着した温泉

独自の温泉スタイルを持つあわら温泉。あわら市民にとっては、どのような存在なのでしょうか。
街の人たちに話を聞くと、「学生時代、部活で大会が終わるとみんなで温泉に行った」「遠方から親戚が来ると、みんなで温泉に行く」「仕事につかれたら、温泉でリフレッシュする」など、生活の中に温泉が根付いていることを伺わせる声も。暮らしの一部として温泉に触れている人も少なくないようです。

あわら市では、子どもの頃から温泉文化に親しんでもらおうと、2002年(旧芦原町時代)から「新入児童思い出づくり体験入浴事業」を実施。2004年に旧金津町と合併以降は、市内全域の小学校で実施しています。これは新一年生とその保護者、および家族を対象に、温泉体験を通じて親子の思い出をつくり、郷土愛を育んでもらおうというもの。これまでの歴史のなかで育んできた温泉文化を次世代にも伝えていきたいという、あわら市ならではの施策と言えるでしょう。

74本の源泉を持ち、豊富な湯量に恵まれたあわら温泉。その独自の温泉文化は、住む人にも、訪れる人にも、いろんな楽しみを伝えてくれます。


あぁ、あわら贅沢。